2013年7月11日木曜日

カードゲームとUX

上平研究室/UXデザインユニットの西森 剛です。
よろしくお願いします。

 研究は、
「参加型デザインのメッソド開発の研究」っていう名前で、
参加型デザインをする時に、どこでも、誰でも、爆速で出来るようにツールキットを作ろうと考えてい ます。
現在、大学にある学食と提携しまして、何回か参加型デザインのワークショップを開催し、そこから得た気づきや経験からデザインツールキットへ落としていくということをやる予定です。

 これまでのブログをみてみると、自分の研究について関連していることを、みなさん書いていますが、ちょっとここらへんで変わり種があってもいいのかなーって。

 実は、私は、上記のツールキットの他にも、カードを使ったあそびを考えることに取り組んでいます。(完全に研究の範囲外で)
今回は、それについて書いていくことにします。


まずは、いくつか最近見かけたボードゲームを紹介したいと思います。


ななろのご


 これは、囲碁を簡略化して、小さい子どもにも遊んでもらえるようにしたものです。大枠として、囲碁に近い感じですが、このゲームでは、碁盤の目を「道」にたとえ、そこに馬を登場させて相手の馬を自分の馬で囲むことで、相手の捕まえたり、ニンジンを自分のものにしていくというものです。

 僕が一番感動したのは、囲碁というものを馬とニンジンに置き換え、馬やニンジンを自分のものにしていくというストーリー仕立てにしたところです。

 全く囲碁をしたこともなかった僕も親しみやすく、簡単に導入することができました。ただ、かわいいデザインとは裏腹に非常に頭を使います。

SHUFFLE

これは、災害をテーマにしているゲームで、災害時に知っておきたいことの手順を正しく並べ替えるとポイントが貰え、そのポイント数で勝敗が決まります。

 一つのテーマごとに4枚の手順カードがあって、みんなで手順カードを出していきます。そして、4枚のカードが揃ったところで、4枚目を出した人が、手順カードを並び替える権利が与えられ、並び替えます。正しく並び替えられると3ポイント得ることができます。

 災害の部分も非常に重要なのですが、このゲームのポイントは、カードを出すタイミングなのです。この駆け引きが非常に重要で面白いものになっています。

SHUFFLE




さて、ここからは、ちょっと手前味噌なのですが、自作のゲームを紹介します。

いにしへつなぎ

このゲームには、古文品詞の接続をUNOのようなカードゲームにアレンジしたものです。名詞、動詞、助動詞などの<品詞>カードがあり、用言とよばれるものには<活用>も描かれています。日本語の接続に従って、カードを場に出していき、早く自分のカードがなくなった人の勝ちです。

 例えば、「馬」というカードが出された場合、「馬」の次に接続できる品詞は、名詞、動詞の連体形、形容詞の連体形、助詞(連体形接続)です。従って、次の順番の人は、それらのいずれかのカードを出す必要があります。

 古文が全くわからない人でもすぐにプレーが出来るように、品詞や活用にそれぞれ色を振っていますので、同じ色伝いにカードを出すことができます。


いにしへつなぎ




■カードゲームを作る、伝える。

 ゲームを作るにあたって、考えないといけないことってなんでしょうか。たくさんあると思いますが、まずは、コンセプトです。どんなコンセプトでどんなゲームを作るのかを明確にする必要があります。何を題材にするのか、どんなものをモチーフにするのか、現実にあるものをゲームにする場合は、抽象化の度合いも決める必要があります。
 そして、次にルールです。前提として、しっかり勝敗がつくようにする必要があります。また、ゲーム中に想定されるプレイヤーの行動を考えた上で、ゲームが、矛盾なく、スムーズに進行出来るようにしなければなりません。そして、何より難しいのは、難易度です。ルールが、単純過ぎてもおもしろくないし、複雑過ぎても楽しんでもらえません。戦略を立てるのが好きな人もいれば、嫌いな人もいる。手順が多いと飽きられてしまうし....また、そのルールの伝え方にも一苦労です。どうすれば伝わるのか、自分の手から離れた時に、ユーザーに伝わるかどうか....


 さて、その後、ビジュアルのデザインをします。ゲームの世界観にあった素敵なデザインにする必要があります。ただし、かっこいいだけではダメで、カードにしろ駒にしろ、どんな情報を載せればいいのかを考える必要があるし、ゲームのルールを理解しやすく、おまけに世界観に入ってもらう工夫をしないといけません。

 こう考えると、ゲームをルールから考え、プロトタイプを作るというのは非常に大変なことなんですね。どの工程においても、常に何かしらのユーザーのコトを意識して作る必要があるわけです。ただ、楽しいだけではだめで、過度なストレスがかからないようにしないといけない一方で、心地良い難しさでなくてなはならないわけです。加えて、ゲーム中の動作(例えば、手を動かしたりする場面)やカードの触り心地なども重要です。



■UIをデザインすることに通ずるものがある。

 カードゲームを作るということは、UI(User Interface)デザインに似ている部分があるのではないでしょうか。ユーザーの行動を考え、ユーザーが困らないように、カードの情報量・見せ方を工夫しつつ、プレイヤーの動作が不自然にならないようにゲームそのものをのデザインするわけです。UIも一緒で、ユーザーがスムーズかつ迅速に正確に、目的を達成できるように、ユーザーの動作や利用時の文脈を考え、デザインに落としてくわけです。ビジュアルだけではなく、ボタンの配置や大きさなど、人間と機械のやり取りをどうすればスムーズにいくのかが重要になっていきます。

 ということで、長くなりましたが、デザインカードゲームを追求していくことで、UIデザインのスキルアップになるのでは、と考えているという話でした。今回は、カードゲームにUIを絡めたお話しましたが、テレビゲームとUを絡めた分野は既にありまして、ゲームニクスとか、ちょっとUIとは離れますが、ゲーミフィケーションっていう考え方があります。


以上になりますが、まだまだ思慮が浅いくせに知ったぶって書いたところもありますが、これからもっともっと勉強していきますので、お気を悪くサれた方は、ご容赦いただければと思います。





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